
「AI でホームページが作れるらしい。それなら制作会社に頼まなくてもいいのでは?」
2026 年に入って、こうしたご相談をいただく機会が本当に増えました。Wix や Jimdo、STUDIO、ペライチといったサービスには、いくつかの質問に答えるだけでトップページの文章と画像まで AI が組み立ててくれる機能が付き、「最短 10 分で公開」をうたうものもあります。ChatGPT や Claude に HTML を書かせて自分で公開している方もいます。
結論から言うと、AI で作るのが正解の会社も、制作会社に頼むのが正解の会社もあります。どちらが優れているかではなく、「そのホームページに何をさせたいか」で答えが変わります。この記事では、制作会社である私たちが、AI 作成と制作会社依頼のメリット・デメリットを 7 つの項目で正直に比較し、判断の目安をお伝えします。
まず結論: 判断の目安
ホームページの目的 | 向いている方法 |
|---|---|
名刺代わり。社名・事業内容・連絡先が載っていればいい | AI ツールで自作 |
開業直後で予算がなく、まず公開することが最優先 | AI ツールで自作(後で作り直す前提) |
検索から問い合わせや来店を取りたい(集客) | 制作会社 |
採用に使いたい。会社の雰囲気や強みを伝えたい | 制作会社 |
予約・会員・EC など、仕組みが必要 | 制作会社(またはシステム開発) |
業種が競合の多い分野(医療・士業・不動産・飲食など) | 制作会社 |
迷ったら「公開した 1 年後に、ホームページから何件の問い合わせが来ていてほしいか」を考えてみてください。答えが「0 件でも困らない」なら AI で十分です。「月に数件は欲しい」なら、制作会社に相談する価値があります。

7 項目で比較
1. 費用
AI で自作 … 無料プランから始められ、独自ドメインや広告非表示を含む有料プランでも月額 1,000〜3,000 円程度が相場です。ChatGPT などで自分でコードを書いて公開する場合は、サーバーとドメインで年 1〜2 万円ほど。
制作会社 … コーポレートサイト(10 ページ前後)で 30〜150 万円程度、ランディングページ 1 枚で 10〜50 万円程度が一般的な相場です。公開後の保守・更新費が月額 5,000〜30,000 円ほどかかることが多く、5 年間の総額で見ると AI 自作との差は数十万〜百数十万円になります。
ここだけ見れば AI の圧勝です。ただし費用は「かけたお金」ではなく「返ってくるお金」で判断するものです。問い合わせ 1 件の価値が 10 万円の業種なら、制作費 80 万円のサイトは年 8 件の問い合わせで元が取れます。
2. 公開までのスピード
AI で自作 … 早ければ当日に公開できます。ここは AI の最大の強みです。
制作会社 … ヒアリング・構成・デザイン・原稿・構築・確認を経るため、小規模なサイトで 1〜2 か月、コーポレートサイトで 2〜4 か月が目安です。
「来週イベントがあるので告知ページが必要」という場面では、制作会社を待っている時間はありません。AI ツールで作る、あるいは制作会社にランディングページ 1 枚だけ急ぎで頼む、という選び方になります。
3. デザインと独自性
AI で自作 … 見た目は年々良くなっています。ただし、AI は「よくあるサイト」を学習して平均的な答えを出すため、同じツールで作ったサイト同士はどうしても似ます。会社の強みをデザインに落とし込む作業(なぜその色なのか、最初の画面で何を見せるのか)は、使う側に設計の知識がないと難しいのが実情です。
制作会社 … 競合サイトを調べ、お客様の強みを聞き出し、「この会社らしさ」をデザインで表現します。写真撮影や動画、ロゴまで含めて統一した世界観を作れるのも制作会社の仕事です。
4. SEO(検索で見つけてもらう力)
AI で自作 … タイトルや説明文を自動で付けてくれるツールは多く、最低限の SEO はできます。しかし「どのキーワードで、どのページを、誰に向けて作るか」という設計は自動では行われません。AI が書いた文章は無難で、競合と似た内容になりがちです。Google が重視する「その会社にしか書けない情報」が入りにくい点は弱点です。
制作会社 … キーワード調査、ページ構成、見出しの設計、構造化データ、表示速度、地図検索(MEO)への対応まで含めて設計します。公開後にアクセス解析を見ながら改善を続けられるのも強みです。
なお、検索エンジンに加えて AI(ChatGPT・Gemini など)が会社を紹介する時代になり、AI に正しく理解されるための情報の書き方(LLMO)も必要になってきました。これは記事の後半で触れます。
5. 更新と運用
AI で自作 … 自分で更新できるのは大きなメリットです。営業時間の変更やお知らせの追加に、誰かに頼む必要がありません。一方で「更新する人が自分しかいない」ため、忙しくなると放置されがちです。古いお知らせが残ったままのサイトは、見た人の信頼を下げます。
制作会社 … お知らせやブログなど頻繁に変える部分はお客様が自分で更新できるように作り(WordPress などの CMS)、デザインや構成に関わる変更は制作会社が対応する、という分担が一般的です。月額の保守契約で「更新を頼める相手がいる」状態を作れます。
6. セキュリティとトラブル対応
AI で自作 … Wix・Jimdo などのサービス型ツールは、サーバーの管理やセキュリティ更新をサービス側がやってくれるので、実は安全性が高い選択です。ただし、サービスの仕様変更や料金改定、サービス終了のリスクを自分で負うことになります。AI に書かせたコードを自分のサーバーで公開する場合は、問い合わせフォームのスパム対策や SSL の更新などをすべて自分で管理する必要があります。
制作会社 … サーバーの選定、SSL、バックアップ、フォームのスパム対策、CMS の更新まで含めて設計し、トラブルの際の連絡先になります。2026 年は情報漏えいの事故が相次いでいますが、お問い合わせフォームに入力された個人情報を守るのは、会社の責任です。
7. 成果(問い合わせ・採用・売上)
ここが一番の違いです。ホームページは「ある」ことより「働く」ことに意味があります。
AI で自作 … 公開はできますが、「誰が、どの検索で来て、どこで離脱しているか」を見て改善する作業は含まれません。成果が出ない理由が分からないまま、放置されるケースが多いのが実情です。
制作会社 … 公開はゴールではなくスタートです。アクセス解析と行動の計測を設定し、問い合わせにつながっているページ、読まれていないページを見ながら改善します。この「公開後の伴走」こそ、制作会社に依頼する最大のメリットだと私たちは考えています。
比較の一覧
項目 | AI で自作 | 制作会社に依頼 |
|---|---|---|
初期費用 | 0〜数万円 | 30〜150 万円程度 |
月額費用 | 0〜3,000 円程度 | 5,000〜30,000 円程度(保守) |
公開まで | 当日〜数日 | 1〜4 か月 |
デザイン | 平均的・似やすい | 会社に合わせて設計 |
SEO | 最低限 | 設計から改善まで |
更新 | 自分で | 分担(CMS + 保守) |
成果の改善 | 自分で | 解析と伴走 |

AI で作ったサイトでよくある失敗
実際に「AI で作ったが、相談したい」と来られるケースで多いのは次の 4 つです。
- 無料プランの制限に後から気づく … 独自ドメインが使えない、広告が表示される、ページ数の上限に当たる。結局有料プランに切り替えるか、作り直すことになります
- 文章が「それっぽい」だけで、自社のことが書かれていない … AI は会社を知りません。強み・実績・お客様の声が入っていないサイトは、検索でも人の目でも選ばれません
- 問い合わせフォームが届いていない … 送信テストをしていない、迷惑メールに入っている、スパムが大量に届く。気づかないまま数か月、という例もあります
- 誰も更新せず、情報が古いまま … 営業時間や料金が変わっても直されず、クレームの原因になります
逆に言えば、この 4 つを自分で管理できる方なら、AI での自作は十分に実用的です。
おすすめは「AI と制作会社の組み合わせ」
AI か制作会社か、という二択で考える必要はありません。私たちが実際にお勧めしているのは、次のような分担です。
- AI にやらせること … 文章の下書き、画像の生成、競合サイトの要約、お知らせ記事のたたき台。制作会社に依頼する前に「自社の強みを 300 字でまとめる」ような準備にも AI は役立ちます
- 制作会社に任せること … 目的とターゲットの整理、ページ構成とキーワードの設計、デザイン、問い合わせの導線、セキュリティ、公開後の計測と改善

制作会社の側も AI を使っています。当社でも、原稿の整理や画像の加工、コードの一部に AI を使い、その分の時間を「お客様の強みを聞き出す」「数字を見て改善する」という人にしかできない仕事に回しています。AI によって制作会社の価値がなくなるのではなく、制作会社の仕事が「作る」から「成果を出す」へ寄っていく、というのが現場の実感です。
AI 時代の SEO: AI に正しく紹介されるサイトにする
最後に、2026 年らしい視点をひとつ。検索結果の上に AI の要約が出る、ChatGPT に「大阪でおすすめの○○は?」と聞く、といった行動が当たり前になりました。AI は、サイトに書かれた情報をもとに会社を紹介します。
つまり、会社概要・サービス内容・料金の目安・所在地・実績が、サイトに具体的に、構造化されて書かれていることが、これまで以上に重要になっています。AI が生成した当たり障りのない文章だけのサイトは、AI からも「特徴のない会社」として扱われます。自社でしか書けない情報を持っているかどうかが、AI 作成と制作会社依頼の差が最も出るところです。
よくある質問
Q. AI で作ったサイトを、あとから制作会社に引き継げますか?
A. 可能です。ただし、サービス型ツールで作ったサイトはそのまま移せないことが多く、文章と画像を活かして作り直す形になります。URL が変わると検索順位に影響するため、転送の設定まで含めて相談してください。
Q. 制作会社に頼むと、自分で更新できなくなりませんか?
A. お知らせやブログなど、よく変える部分はお客様が更新できるように作るのが今の標準です。契約前に「どこまで自分で更新できるか」を確認しておくと安心です。
Q. 費用を抑えて制作会社に頼む方法はありますか?
A. ページ数を絞る、原稿や写真を自社で用意する、まずランディングページ 1 枚から始める、といった方法があります。目的を伝えていただければ、優先順位を一緒に整理します。
まとめ
- 名刺代わりのサイトなら AI での自作で十分。費用とスピードは AI が圧倒的です
- 集客・採用・仕組みが必要なら制作会社。差が出るのは「設計」と「公開後の改善」です
- 二択ではなく、AI で準備し、制作会社が設計と成果を担う組み合わせが現実的です
「うちの場合はどちらがいいのか」を判断したい方は、今のサイトの状況と目的を教えてください。AI での自作をお勧めすることもあります。お問い合わせからお気軽にご相談ください。

